複層ガラスの性能

ダブルウォールガラスのマグカップ

複層ガラスの性能を実感するためにダブルウォールのマグカップを買いました。模式図のようにガラスが二重になっていてその間に空気の層が形成されています。この空気の層の断熱性能のおかげで淹れたてのコーヒーを注いでも全く問題なく手で触れます(多少暖かくなる程度)。これが普通のガラスのコップだったら熱くて触ることもできないはずです。

    マグカップの断面        複層ガラスの断面        

空気というのは実はかなり断熱性能がよく、最近建築の分野でもスタンダードとなりつつある「複層ガラス」も同じ構成となっていて、ガラスとガラスの間に空気などの熱を伝えにくい層を挟むことで、断熱性能を向上させたものです。少し専門的な用語になってしまうのですが、熱貫流率という指標を使ってその性能を示すと以下のようになります。熱貫流率は複合素材の断熱性能と理解していただければと思います。

5mmのガラス1枚             5.9 (W/㎡・K) ←数値が小さいほうが熱を伝えにくい

3mmガラス+空気層12mm+3mmガラス   2.9(W/㎡・K) (出展:AGC株式会社HPより)

空気の代わりにさらに性能の良いアルゴンガスを封入したものや、ガラスを3重にしたものなど断熱性能に優れた製品が様々開発されています。ただ、当然断熱性能の向上はほぼコストの増加とイコールなので、どこまでの性能を求めるのか、という判断が重要になってくると思います。

屋内環境を快適にし、エネルギー消費を減らすというこれからの建築のあり方を考えると、今までのスタンダードであったガラス1枚にアルミサッシというのは変えていかなければならないと思います。低価格という魅力はあるのですが、断熱性能という意味では無いに等しいといえます。ちなみに、サッシ材質の熱伝導率(これは素材単体の熱の伝わり易さの指標で、数値が低いほど熱を伝えにくい)では以下の通りです。

鉄:55(W/(m・k))

アルミ:210!!

木(天然木):0.12      (出展:材料の熱定数表 空気調和衛生工学会 2012)