地区集会所の新築工事です。当社で設計・監理を担当いたしました。木造平屋建て130㎡の小さなプロジェクトですが、集会所ということで80名程度を収容できる集会室と災害時の1次避難所としての機能が要求されました。木造で8mを超えるスパンを実現するためにはトラス構造(今回採用したのはキングポストトラス呼ばれる最もポピュラーな形式(下写真)とすることが合理的です。下弦材は強度の関係上集成材を使う必要がありますが、その他の材は一般に流通している120mm角材を使い、接合部の加工は住宅用のプレカット機械で可能なようにJISで規定されているため特殊な技術を用いることなく架構を構成することが可能です。
今回のプロジェクトでは屋根材として最近は使われることの少なくなった瓦を採用しています。計画地の前面道路は旧街道であり数はそれほど多くはありませんが、瓦葺きと漆喰塗の白い壁が街道沿いの景観を優れたものにしていて、新しい集会所はぜひともその仲間に加わりたいとの思いを込めて設計を行いました。瓦を施工していただいた瓦屋さんが、私が生きている間にこの屋根を触ることはないでしょう、と自信たっぷりに言って下さったことがとても印象に残っています。
そして、地区集会所の重要な役割は災害時の1次避難場所としての機能です。
今回のプロジェクトではプロパンガスを熱源とするポータブル発電機を備え付け、停電時においても必要最低限の電力が使えるように切り替え分電盤を設けています。メーカーカタログ値でプロパンガスボンベ10kgで20時間の連続運転が可能です。この発電機により集会所内の照明器具・コンセントの一部とトイレの利用が可能となります。