自ら手を動かしてみよう
先日ご紹介した「やまゆり保育園」の設計には、関係者間で共有していた裏コンセプトがあって使えるものはみんなで手入れをして再利用しようという取り組みも行っていました。
保育園で使われていた何気ない木の椅子ですが、長年に渡って園児の生活を支えてきた歴史を感じるとても良いオーラをまとっていました。これを何とかして新しい園舎でも使えないかという思い付きから、私たちも想定していなかった関係者を巻き込んだワークショップへと発展していきました。
教育委員会さんのご協力もあって、かつて使っていた木の椅子を再塗装するワークショップを開催し園児とその親御さん、教育長や副村長まで参加していただき大盛り上がりのイベントとなりました。そうすることで多くの方々に園舎の新築に関わったという誇りをもっていただけたのではないかと思います。園児が完成した保育園を「これわたしの保育園」と言っていたということを聞き、設計者としてはそれほどうれしいことは無いととても嬉しくなりました。その”自分事”として建築を扱う態度が、これからも大切に使い続けていくということにつながり、建築が建材で構成させた単なる物質ではなく、人との交流を通じた”生きられたもの”になるのではないかと思います。
おまけ
上の写真は、その取り組みの一環として当社で再塗装した傘立てです。かつて別の場所にあった旧園舎を見学に行った際にそのシンプルな作りが気に入ったので、はがれてぼろぼろになっていた塗装を剥がして室内のテーマカラーであった黄色に塗装しなおしました。
設計者である私たちも参加させていただき、「手で考える」ことの重要さを再認識させられるとてもいい体験となりました。