奈良県文化会館・奈良県立美術館

画像左から文化会館・美術館・県庁舎 これらは片山光生という建築家の設計によるもの

奈良県の文化会館と美術館は耐震強度が不足していることから一体的な再整備が検討されています。補強して使えるような数値ではなさそうなので建て替えとなるのかもしれません。この均整の取れた景観も見納めとなるのでしょうか。

あまり知られていませんが(私も最近知ったのですが)これら3つの建物は同じ設計者によるものです。作られた時期も近いために、この区画全体の調和によって美術館と文化会館の前庭や周囲の街路も含めて外部空間でありながら建物に囲まれた内部空間のようにも感じられる親密な空間が形成されています。

近鉄奈良駅から東大寺に向けて緩やかな坂道を上ってくると、突然1960年代的モダンな雰囲気に囲まれたゆったりした空間に遭遇してちょっと感動します。文化会館も美術館も建物の高さが低く抑えられていて空が広いのでとても気持ちがいいです。ここを訪れる人々(と鹿たち)に憩いの場を提供してくれていると思います。仮に建て替えとなってもこの親密な外部空間の雰囲気は残ってくれるといいなと思います。

文化会館東側2F入口付近より県庁方面を見る

ちなみにあのカーサブルータスにも日本のモダン建築の代表作として奈良県庁舎が紹介されています。奈良というと寺社仏閣のイメージが強い(というかほとんどそのイメージしかないでしょうか)ので見過ごされがちですが、近代の建築も素晴らしい建築物があるのでこのサイトでもこれから紹介していこうと思います。

文化会館前の広場はとても広く作られており建物は控えめなので空がとても広い
美術館は2棟に分割されているので、こちらも建物のスケールは小さく抑えられている
美術館前の広場もとても広く作られているのでとてもゆったりとした屋外空間となっている「都市の部屋」