屋根が架かると次は外壁の工事に移ります。当然、窓の部分には外壁は張らないので窓を取り付けるための枠の工事も同時に行うことになります。外壁の工事は柱の外側と内側の両方から作業を行います。

外壁と窓 

 まずは外側の工事から。柱の外側に合板を張り付け、その上から透湿防水シートを張り付けます。これは外壁から万が一水が入ったとしても、この面でさらなる室内側への浸入するのを防ぐためのもので、2次止水などと呼ばれています。特に窓廻りは防水上の弱点になりやすいので念入りに周囲に気密テープというものを張り付けます(下の写真でサッシのまわりに見えているグレーのテープがそれです)。

 屋根面にも同様に一番外側の屋根材の裏にルーフィングと呼ばれるシート状の材を敷き詰めます。このように建物の外部側では表面材の裏側にさらに防水の層を設ける2重の対策をします。なので、この防水シートと外壁の間には浸入した水が速やかに外部へ出ていくための「通気層」と呼ばれる隙間を設けます。防水シートと外壁が隙間なく密着していたらいつまでも外壁の内側が濡れたままとなり、劣化を促進してしまいますので、この通気層はとても重要なのです。

 そのため、防水シートの上には胴縁(どうぶち)と呼ばれる細長い木材を取り付けます。これは外壁の仕上げ材を取り付ける際の下地材も兼ねています。下の右側の写真で見えている一定の間隔で取り付けられている木材が胴縁です。ちなみにこの事例では外壁を縦張りにしているため胴縁は横向きになっていますが、外壁を横向きに張る場合は胴縁は縦向きになります。ここまで、ついて来ていただいているでしょうか?

 上の屋外側の写真で、横胴縁を張ったら通気しないじゃないか!と気づいた方は相当鋭いですね。そうなのです。胴縁を横方向にずーっと張っていくと空気が動かなくなり通気層としての役割を果たせません。なので、下の写真のように胴縁に切り込みを入れるという加工を施すのです。こういう見えないところのしっかりした配慮が建築を長く使うために重要なのです。

横胴縁に加工された通気孔

 次に屋内側ですが、柱(通常は910ミリ間隔)と間柱(まばしら:通常455ミリ間隔)の間に断熱材を充填していきます(下図)。近年、断熱性能をさらに向上させるため、柱の間に断熱材を充填する「充填断熱」に加え、外壁側に断熱材の層を付加する「付加断熱」と呼ばれる施工も増えてきました。その話は別の機会にしようと思います。

 なお、この910ミリという半端な数字は1尺=303ミリから生じた値で、尺貫法という日本固有の単位系をメートル法に換算した際に生じたものです。例えば今でも、合板は910ミリx1820ミリというサイズが主流です。ホームセンターなどでも売られていますので見てみてください。ちなみに、1寸は1/10尺で30.3ミリなので、あの有名な1寸法師はだいたい3センチくらいだなということになります。

 話をもとに戻すと、施工を少しでも省力化しようということで、この間柱のピッチ455ミリに合わせて袋詰めにされた状態で製品化されています。さらに親切なことにこの袋には両サイドに羽がついており、柱間に押し込んで、この羽の部分を柱に釘で打ち付けることができるようになっているのです。これによって、断熱材がずれて壁の上部の方に全く断熱材が充填されていない、なんてことが無くなりました。(改修工事で壁をめくってみたら・・・ということがたまにあります。)

断熱材を柱間に充填したところ
袋状に梱包された断熱材

 断熱材の充填が終わると、次に内装の下地材としてせっこうボードを張り付けていきます。現在では、ほとんどの建物で内装下地材としてせっこうボードが使用されているのではないかと思います。ここまで来るともはや「外壁」のカテゴリーではないように思います(笑)が、一連の作業として今回はここまでとします。次回はいよいよ内装の仕上げです。

断熱材の上からせっこうボードを張り付けているところ